本年も残り少なくなりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今年は先生方はじめさまざまな方々のお力添えを得て、いろんな機会をいただけた一年でした。
また来年もよろしくお願いいたします。
ということで(という論理関係は意味不明ですけど)、個人的におもしろかった今年の本を三冊リストアップしてみたいと思います。いや、もちろん、三冊というのはかなり厳しいわけで、十分にたくさんの本を読めたわけじゃないですし、それなのにおもしろい本なんて山ほどあるわけですけど……。
まず一冊目は、池田純一『ウェブ×ソーシャル×アメリカ』(講談社現代新書、3月刊)。
今では当然のように論じられるデジタル空間の構築における思想の意義を、見事な手際で読みやすく論じた一冊。
二冊目は、ジル・ケペル『中東戦記』(講談社メチエ、9月刊)。
もうすでにブログにも紹介したので多言は要しませんが、とにかく文芸書として読みたいような一冊です。
三冊目は、震災関係本から、五十嵐太郎『被災地を歩きながら考えたこと』(みすず書房、11月刊)。
正直言って(すべて読んでいるわけではありませんが)震災関係本にはあまり関心しないことが多かったのですが、この本は噛みしめて読みたい一冊。著者が書いているように被災者の聴き取りを行ったり、復興計画を提案するようなものではないですが、東北大で建築を教える泰斗である五十嵐先生がどのように被災地を見るのか、是非手にとって欲しい本です。
三冊とも、内容もさることながら、標題や装丁も(『ウェブ×ソーシャル×アメリカ』は現代新書の装丁ですが、あの色がうまくマッチしていますよね、あの色はどうやって選んでいるんでしょう?)素晴らしく、本の良さをいろんな側面から見て取ることができる本たちです。こういう本に出会えるから読書は楽しいですよね。
ぼくの専門に近いところでは、
小林和幸『谷田干城』(中公新書、3月刊)
『レヴァイアサン48 〔特集〕政治学と日本政治史のインターフェイス』(木鐸社、4月刊)
『週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 政治の未来図』(朝日新聞出版、10月刊)
がいずれも素晴らしい本・特集でした。
小林先生のものは小林先生のこれまでの業績を反映させながら、谷干城や貴族院の歴史的地位について易しく論じた本。
『レヴァイアサン』は説明するまでもない学術雑誌ですが、(正直企画の趣旨なるインターフェイスが成功しているとは思わないのですが)清水唯一朗先生の論文や牧原出先生の論文からは、内閣や政官関係などの制度を中心に政治史を連続的に捉えようとする新しいアプローチの萌芽を見ることができるように思います。
一方、『朝日ジャーナル』の方は、あまり注目はされていないように思いますが、山口二郎先生、渡辺将人先生、牧原出先生、北岡伸一先生、村井良太先生、飯尾潤先生、坂本孝治郎先生、竹中治堅先生、赤坂幸一先生、北川正恭先生、増山幹高先生、御厨貴先生、平野浩先生、田中愛治先生、大山礼子先生、宇野重規先生、空井護先生、菅原琢先生、田中明彦先生、我部政明先生、蒲島郁夫先生、進藤榮一先生、池内恵先生、橋爪大三郎先生……どうやったらこんな先生たち集められたのというようなメンバーで、(「政治の未来図」が描けているのかどうかは読者の方々のご判断によりますが)とにかく必読です。古本で手に入れてでも是非読んでくださいませ。
今年は、古典や概説書の方に優れた本がたくさん登場した年でもありました。
カー『危機の二十年』(岩波文庫、11月刊)
古典としては、なによりこの本。原彬久先生による待望の新訳。必読。
升味準之輔『日本政党史論』(全七巻、東京大学出版会、12月刊)
こちらも待望の復刊。ぼくはいつも読書ノートをつけて、おもしろい箇所を書き写すようにしているのですが、この本は図書館から借りて読んでいたとき、一巻目から面白すぎてほとんど全文書き写しになり、途中で断念したことがあります。
また、概説書としては、吉川弘文館から「現代日本政治史」のシリーズ刊行が始まったほか、以下の二冊は(ぼくも授業を受けたことがある先生たちですが)感涙ものです。
渡辺浩『日本政治思想史』(東京大学出版会、3月刊)
とてもわかりやすい筆致で書かれているにも関わらず、よく読み込めば読み込むほど味が出る(特に渡辺先生の恩師である丸山先生の思想史と対比すると)奥の深い本です。ぼくもまだ三周しかしていないので、また読んでみようと思っています。
北岡伸一『日本政治史』(有斐閣、4月刊)
もともと放送大学のテキストとして書かれ、復刊が望まれたテキストがついに。北岡先生ならではの鋭い歴史叙述の手にかかれば、日本政治史はここまでコンパクトに描くことができる!
苅部直・宇野重規・中本義彦編『政治学をつかむ』(有斐閣、7月刊)
さらに概説的なものとして、新たなテキストとして登場した一冊。幅広い話題をとてもやわらかい言葉でまとめあげた、それでいて奥の深い、新たなテキストの名にふさわしい本だと思います。
ということで、新年が迫ってきているので、このへんで。
今年もステキな人たちと、ステキな本たちと、ステキな出会いをできたことに感謝!
来年もぜひぜひ楽しい年にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします!!
P.S.1
拙著『60年代のリアル』のなかで荻上チキさんについて「社会学者」と表記してしまっていました。ご本人のツイッターでもご指摘いただきました。なんでこんなミスをしてしまったのかわかりませんが、すみませんでした。
P.S.2
ブックフェアについてですが、おかげさまで八重洲ブックセンターさまでのフェアは終了しました。代わって、紀伊國屋書店新宿南店さま、池袋リブロさま、丸善丸の内店さまなどでフェアが開始されております。こちらもよろしくお願いします!